免疫細胞療法

免疫細胞療法とは
免疫細胞療法のしくみ
生物には生まれつき免疫とよばれる働きが備わっており、体の中に侵入した細菌やウイルスを体の中から取り除く働きがあります。
同時に、癌ができたり転移したりすることとも、密接な関係があります。体の免疫力が低下した状態、例えば後天性の免疫不全症候群（エイズ）や薬によって生じる免疫の抑制された体の状態では、癌ができやすくなることが知られています。
免疫細胞療法は、このような生まれつき備わっている免疫の力を利用したり、免疫の力を強めたりすることで、がんの発症や進行を抑える治療方法です。
がんの治療法は、これまで外科手術・化学療法・放射線療法の三大療法が主流を占めてきました。他の第4の選択肢として、
またがん治療特有の苦痛を伴わない普通の生活を送れるようなQOL(生活の質)の改善を高める治療法として、
免疫細胞療法は世界中で研究され、臨床的な効果が得られる治療法になりました。
免疫細胞療法には特異的免疫療法と非特異的免疫療法があります。


　 非特異的免疫療法：活性化リンパ球療法（CAT）
がんを攻撃するリンパ球を体外で培養し、数を増やして身体に戻す治療です。
散発的な攻撃のため威力は高くはありませんが、免疫力を全体的に高めることが出来ます。
微小な癌に対して治療効果が期待でき、またQOLの改善が期待できます。
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特異的免疫療法：樹状細胞+活性化リンパ球療法（DC-CAT）
樹状細胞という免疫の司令塔を併用することで、患者様の癌を集中砲火できる、効果の高い免疫反応が期待できます。
微小な癌に対して高い治療効果が期待でき、同様にQOLの改善も期待できます。
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いずれの方法も万能ではなく、当院の考え方では「まず外科手術でがん細胞の数を可能な限り減らしてから免疫細胞療法で再発を防ぐ」ことを基本方針としています。
そして、衰弱が激しかったり、鼻の奥など摘出困難な場所にあるなど、外科手術が不可能な場合、
あるいは飼い主様が「手術で痛い思いをさせたくない、でも少しでも楽に過ごさせてあげたい」という強い希望がある場合、
これらのケースでは完治ではなく、QOLの向上維持を目標として、免疫細胞療法単体での治療を検討します。


どんな病気に使用できるのか？
・各種がんの外科摘出後の再発予防
・手術不可能あるいは手術を希望しない場合の延命、QOLの改善

どんな病気では使用不可能か？
・T細胞性リンパ腫（がん細胞を培養して身体に戻すことになるため逆効果となる）
・猫エイズ、猫白血病に感染している（これらのウイルスは免疫細胞で感染増殖するため逆効果となる）